ケース別ガイド

国内在住者を特定技能で採用する

国内在住の外国人を特定技能で採用する場合は、海外採用と比べて入社までの期間を短くしやすく、候補者の日本語力や現場適応を直接確認できます。一方で、候補者を見つけること自体が最初のハードルになります。

フェーズ1: 候補者を見つける フェーズ2: 採用実務を進める

候補者がすでにいる場合は「最初に確認すること」から読み進めてください。

Phase 1 候補者を見つける

Channels

候補者の探し方

4つのチャネルから、自社の状況に合うものを選んでください。複数を併用するのも一般的です。

外国人採用に特化した人材紹介会社に、候補者の紹介を依頼するルートです。候補者の選定、在留資格の事前確認、面接調整まで紹介会社が担うため、自社に外国人採用の経験がなくても進めやすいのが特徴です。

仕組み

  • 紹介会社に採用条件(分野、業務区分、勤務地、給与など)を伝える
  • 紹介会社が候補者を選定し、在留資格や試験合格状況を事前確認する
  • 条件に合う候補者を紹介され、面接を行う
  • 採用決定時に紹介手数料が発生する

コスト

  • 成功報酬型が一般的。採用者の想定年収の20〜35%程度が目安
  • 紹介手数料の算定基準は会社ごとに異なるため、事前に確認する
  • 初期費用がかからない分、1人あたりの採用コストは高めになりやすい

向いているケース

  • 外国人採用が初めてで、候補者選定から在留資格の判断まで相談したい
  • 採用にかけられる社内リソースが限られている
  • 急ぎで候補者を見つけたい

選び方のポイント

  • 特定技能の紹介実績がある会社を選ぶ。制度理解が浅い会社だと、在留資格の前提確認が不十分なまま紹介されるリスクがある
  • 自社の分野に強い会社かどうかを確認する。分野によって候補者の層が大きく異なる
  • 複数社に依頼して比較するのが一般的。1社だけだと候補者の幅が狭くなりやすい
  • 紹介後のフォロー体制(入社後の定着支援、トラブル対応など)も確認する

注意点

  • 紹介会社は候補者の紹介まで。在留資格変更の申請手続きは企業側(または行政書士)で行う前提が一般的
  • 紹介会社と登録支援機関は別の役割。紹介会社が登録支援機関を兼ねている場合もあるが、分けて考える方が明確
  • 紹介手数料とは別に、登録支援機関への委託費が発生する場合がある

Screening

候補者の見極めポイント

初回面談までに「特定技能で採用できる前提が成り立つか」を粗く判断します。正式な確認はフェーズ2で行います。

現在の在留資格

特定技能への変更が認められる在留資格か。「短期滞在」など変更申請ができない在留資格もある

在留期限

残り期間が極端に短いと、書類準備と審査が間に合わないリスクがある。目安として残り3か月未満は急ぎ対応

試験合格状況

特定技能評価試験と日本語試験(日本語能力試験N4以上、または国際交流基金日本語基礎テスト合格)を確認する

分野・業務区分

自社の業務が特定技能の対象分野・業務区分に入っているか。候補者の合格分野と一致しているか

就労意向と条件

勤務地、給与、勤務時間、仕事内容などの基本条件が折り合うか

この段階で明らかに前提が成り立たない候補者がいたら、無理に進めるより別の候補者を探す方が効率的です。

Fallback

集まらない場合の判断

国内で候補者が集まらないリスクは現実にあります。

見つかりにくい条件

  • 地方で外国人在住者が少ない地域
  • 対象分野で国内に有資格者が少ない
  • 給与水準や勤務条件が同分野の他社と比べて厳しい

切替の目安

求人媒体に掲載して1〜2か月、紹介会社に依頼して1か月程度で候補者の反応がない場合は、チャネルの追加か海外採用への切替を検討するタイミングです。

「もう少し待てば来る」と引き延ばすと、採用計画全体が後ろ倒しになります。国内採用と海外採用は並行して動かすことも可能です。国内で探しながら、並行して海外採用の準備(送出機関の選定、費用感の把握)を始めておくと、切替が必要になったときにスムーズです。

Phase 2 採用実務を進める

First Check

最初に確認すること

候補者が見つかったら、採用に進む前に次の項目を正式に確認します。

  1. 1

    在留カードの表裏を確認する

    • 表面: 在留資格、在留期限、就労制限の有無を確認
    • 裏面: 資格外活動許可の有無を確認
  2. 2

    在留期限までに申請準備が間に合うか逆算する

    • 書類準備に2〜4週間、審査に数週間〜数か月を見込む
    • 在留期限が3か月未満の場合は急ぎ対応が必要
  3. 3

    技能実習2号修了者かどうかを確認する

    • 修了者の場合は、試験免除の可能性や進め方が変わる
    技能実習から切り替えるページで確認する →
  4. 4

    特定技能評価試験と日本語試験の合格証明を確認する

    • 合格証明が手元にない場合は取得状況を確認し、入手を先に進める
  5. 5

    自社業務が対象分野・業務区分に入るか確認する

    • 配属先の業務内容が、候補者の合格分野・業務区分と一致しているかを現場と確認する

ここが曖昧なまま社内承認や契約に進むと、後から前提が崩れて手戻りが出ます。確認結果は採用担当だけで抱えず、現場責任者と共有してください。

Flow

採用から入社までの実務フロー

候補者確認から在留資格変更、入社準備までを順番に進めます。

  1. 1

    候補者の在留カードと在留期限を確認する

  2. 2

    技能実習移行か、一般の国内切替かを切り分ける

  3. 3

    対象分野と業務区分を確認する

  4. 4

    雇用契約を固める

  5. 5

    支援体制と届出担当を決める

  6. 6

    会社書類と候補者書類を集める

  7. 7

    在留資格変更許可申請に進む

  8. 8

    許可後、入社日と届出スケジュールを確定する

書類を集める前に「その候補者を本当にこのルートで進めてよいか」の判断を終えることが重要です。Step 1〜3が曖昧なまま書類準備に入ると、やり直しになります。

Documents & Timing

必要書類と所要期間

収集主体を分けておくと、申請直前の不足を減らせます。

会社側で準備するもの

  • 雇用契約書
  • 労働条件通知書
  • 会社概要資料
  • 納税関係資料
  • 支援計画関係資料

候補者側で準備するもの

  • 在留カード
  • パスポート
  • 試験合格証明
  • 写真

外部パートナーと分けるもの

  • 行政書士へ依頼する申請書類の範囲
  • 登録支援機関へ任せる支援実務の範囲

詳細な提出書類は申請区分や分野で変わるため、最終的には出入国在留管理庁の最新様式で確認してください。

所要期間の目安

候補者確認と社内判断 1〜2週間
書類収集 2〜4週間
在留資格変更の審査 数週間〜数か月

在留期限から逆算して、申請準備を終えられるかが最も重要な判断軸です。「いつ入社できるか」よりも「在留期限までに間に合うか」で見てください。

遅れやすいポイント

  • 在留期限の確認が遅い
  • 候補者からの書類回収が滞る
  • 業務区分の確認を現場任せにして曖昧になる
  • 支援体制の決定を後回しにする
  • 候補者の現職退職時期が読めない

After Prep

採用後に先回りして準備すること

申請前から準備しておくと、入社初月の実務が崩れにくくなります。

外国人雇用状況届出の準備
支援体制の確定(自社で運用するか、登録支援機関に委託するか)
住居、携帯、銀行口座など生活立ち上げの段取り
入社後面談と記録管理の方法

国内在住者であっても、特定技能1号であれば支援義務は海外からの来日者と同じです。生活立ち上げの負荷は相対的に軽いものの、支援の内容自体は変わりません。申請前に、誰が面談記録を残し、誰が相談窓口になるかを決めておいてください。

FAQ

よくある質問

在留資格変更が認められれば可能です。ただし、在留資格の種類によっては変更申請ができない場合もあるため、事前に現在の在留資格を確認してください。

書類準備と審査の所要期間を考えると厳しい場合が多いです。在留期間更新を先に行い、期限に余裕を作ってから変更申請に進む方法もありますが、個別の状況によります。早い段階で行政書士や入管に相談してください。

可能です。求人媒体やハローワーク、自社ネットワークを使えば紹介手数料をかけずに採用できます。ただし、在留資格の確認や変更手続きは自社、または行政書士に依頼して対応する必要があります。

内定は可能ですが、在留資格変更の申請には試験合格が必要です。合格前に契約を進める場合は、不合格時の取り扱いを事前に決めておいてください。

はい。特定技能1号の申請には支援計画の提出が必要なため、支援体制を決めてから申請に進みます。申請後に決めようとすると手戻りが出ます。

支援体制の決め方を見る

在留資格変更と支援体制の判断へ進む

国内切替の流れが見えたら、次は在留資格変更の個別手続きと、支援体制の決め方を確認します。