ケース別ガイド

留学生を採用する

留学生を正社員として採用するには、在留資格を「留学」から就労可能な資格に変更する必要があります。どの在留資格を選ぶか、卒業時期から逆算していつ申請を始めるかが採用成功の鍵です。

フェーズ1: 採用設計 フェーズ2: 手続きを進める

候補者が内定済みの場合は「スケジュール」から読み進めてください。

最終更新日: 2026-04-01

Phase 1 採用設計

Check

まず確認すること

採用検討時に最初に押さえる4項目

  1. 1

    卒業時期

    いつ卒業するか(卒業見込みか既卒か)。4月入社に間に合わせるなら、12月〜1月末に変更申請を行う必要がある。秋卒業の場合はさらに早い申請が必要。

  2. 2

    学歴

    大学卒(学士以上)か、専門学校卒(専門士・高度専門士)か。学歴によって申請できる在留資格が変わる。

  3. 3

    想定職務内容

    どの業務に従事させるか。在留資格ごとに認められる業務範囲が決まっている。「営業」「事務」ではなく具体的な業務内容を言語化しておく。

  4. 4

    日本語能力

    特定活動46号を検討する場合、日本語能力試験N1またはBJT480点以上が必須。技人国には法的要件はないが、業務遂行に必要な語学力は実質的に求められる。

Selection

在留資格の選び方

技人国と特定活動46号の比較

留学生を正社員として採用する場合、主に「技術・人文知識・国際業務(技人国)」と「特定活動(告示46号)」の2つが候補になります。

留学生採用で最も一般的な在留資格。理系・文系の専門業務に従事する場合に使う。

対象業務

自然科学・人文科学分野の技術や知識を要する業務。エンジニア、通訳・翻訳、マーケティング、経理、デザイナー、企業内語学講師など。単純労働は不可。

学歴要件

大学卒業(学士以上)、または専門学校卒業で専門士・高度専門士の称号を持つこと。あるいは関連分野での10年以上の実務経験(翻訳・通訳・語学指導は3年以上)。

業務と学歴の関連性

大学・専門学校で学んだ分野と従事する業務に関連性が必要。文学部卒をエンジニアとして申請するなど、関連性が薄い場合は不許可リスクあり。

日本語能力

制度上の要件はないが、日本語を使う業務であれば実質的に必要。

在留期間

5年、3年、1年、3月

判断の目安

  • 専門分野の業務に従事させる(エンジニア、経理、翻訳など)なら技人国
  • 日本語を活かした幅広い業務(接客+翻訳、営業+通訳など)なら特定活動46号
  • 現場系の業務(介護、外食、製造など)なら特定技能も検討
  • 専門学校卒で専門士の場合は技人国のみ(特定活動46号は原則対象外)
  • 日本語能力N1相当がない場合は技人国のみ(特定活動46号はN1必須)

迷ったら技人国で検討し、業務内容が技人国の範囲に収まらない場合に特定活動46号を検討します。

Channels

候補者の探し方

留学生の採用チャネルは中途採用や海外採用とは異なります。自社の状況に合うものを選んでください。複数の併用も一般的です。

大学のキャリアセンターや留学生課に求人を出し、マッチングを依頼するルートです。留学生採用の最も基本的なチャネルです。

仕組み

  • 大学のキャリアセンターに求人票を提出する
  • 留学生課がある大学では、留学生向けに求人を紹介してもらえる
  • 大学側が候補者の学歴・専攻を把握しているため、ミスマッチを減らしやすい

コスト

  • 求人掲載は無料が多い
  • 大学との関係構築に時間はかかるが、金銭コストは低い

向いているケース

  • 特定の大学・専攻から定期的に採用したい
  • 日本語力のある候補者を確保したい
  • 候補者の専攻と自社業務の関連性を重視する

活用のポイント

  • 求人票だけでなく、大学での企業説明会や授業内での講演に参加すると認知度が上がる
  • 留学生の多い大学を優先する。国公立・私立ともに留学生の在籍状況は公開されている
  • 採用実績が積み上がると、大学側からの紹介精度が上がる

注意点

  • 大学ごとにキャリアセンターの対応力にばらつきがある
  • 求人票の提出時期が遅いと、候補者がすでに他社で内定を得ている場合がある
Phase 2 手続きを進める

Schedule

入社日から逆算したスケジュール

4月入社を基準としたスケジュールです。卒業時期が異なる場合は逆算の起点をずらしてください。

  1. 10〜11月

    内定、在留資格の種類を決定、必要書類の準備開始

  2. 12〜1月末

    在留資格変更許可申請を提出(出入国在留管理庁の推奨時期)

  3. 1〜3月

    審査期間(標準処理期間は1〜2か月)

  4. 3月

    卒業、許可通知受領、在留カード受取

  5. 4月

    入社、就労開始、外国人雇用状況届出

書類がそろっていない場合や申請時期が遅れた場合、4月の就労開始に間に合わない可能性があります。

Flow

変更申請の実務フロー

在留資格変更は本人が申請しますが、企業は書類準備とスケジュール管理で関与します。

  1. 1

    在留資格の種類を決定する

    技人国 or 特定活動46号

  2. 2

    雇用契約書または労働条件通知書を作成する

  3. 3

    企業側の必要書類を準備する

  4. 4

    候補者側の必要書類を準備する

  5. 5

    在留資格変更許可申請を提出する

    本人が地方出入国在留管理官署に申請

  6. 6

    審査結果を待つ

    1〜2か月

  7. 7

    許可後、在留カードを受け取る

  8. 8

    入社、外国人雇用状況届出を行う

申請先

住居地を管轄する地方出入国在留管理官署

申請者

本人、または取次者(企業職員、弁護士、行政書士など)

手数料

許可時に収入印紙4,000円(オンライン申請は割引あり)

処理期間

1〜2か月(繁忙期は長引く可能性あり)

Documents

必要書類

収集主体を分けておくと、申請直前の不足を減らせます。

企業側で準備するもの

  • 雇用契約書または労働条件通知書の写し
  • 会社の登記事項証明書
  • 決算書類(直近年度の損益計算書のコピーなど)
  • 会社案内(事業内容が分かる資料)
  • 雇用理由書(業務内容と採用理由を説明する文書)

候補者側で準備するもの

  • パスポート
  • 在留カード
  • 卒業証明書(または卒業見込み証明書)
  • 成績証明書
  • 写真
  • 履歴書

在留資格の種別や企業のカテゴリ(上場企業か中小企業かなど)によって必要書類が異なります。詳細は出入国在留管理庁の最新様式で確認してください。

所要期間の目安

書類準備 2〜4週間
審査 1〜2か月

遅れやすいポイント

  • 雇用理由書の業務内容記載が曖昧で、入管から追加資料を求められる
  • 候補者の成績証明書や卒業見込み証明書の取得が遅れる
  • 会社の決算書類等の社内手続きに時間がかかる
  • 行政書士への依頼が申請直前になる
  • 卒業時期と入社時期の調整がずれる

Gap

卒業から入社までのギャップ対応

卒業後の空白期間をどう処理するか

内定済み

内定後、入社日まで在留が必要な場合

「特定活動(内定後就職まで)」に変更できます。卒業した教育機関の推薦が必要です。

資格外活動許可を得れば、週28時間以内のアルバイトも可能です。

就職活動中

卒業後も就職活動を続ける場合

「特定活動(継続就職活動)」に変更できます。在留期間は6か月で、1回更新可能(最長1年)。

卒業した教育機関の推薦状が必要。在留状況に問題がないことが条件です。

Caution

よくあるミス

留学生採用で見落としやすいポイント

雇用理由書や申請書類に「営業」「事務」のように抽象的な職務内容だけ書くと、在留資格との関連性が不明確になり不許可リスクが上がります。「海外取引先との英語による受発注業務」のように、何語で何をするかまで具体的に記載します。

「4月入社だから3月に申請すればいい」は誤りです。審査には1〜2ヶ月かかるため、12月〜1月末には申請を済ませる必要があります。秋卒業の場合はさらに早い申請が必要です。

留学の在留期限が1月31日以前の場合、変更申請より先に在留期間更新が必要になることがあります。在留カードの満了日を最初に確認します。

採用予定の留学生がアルバイトで週28時間を超えていた場合、在留状況に問題があるとして変更申請が不許可になるリスクがあります。採用前にアルバイト状況を確認しておきます。

技人国では、大学で学んだ分野と従事する業務の関連性が審査されます。関連性が薄いケースでは、なぜその人材がその業務に適しているかを雇用理由書で丁寧に説明する必要があります。

FAQ

よくある質問

はい。「留学」の在留資格のままでは正社員として就労できません。アルバイトは資格外活動許可に基づく限定的な就労(週28時間以内)であり、フルタイム就労には在留資格変更が必要です。

専門士または高度専門士の称号を持っていれば申請可能です。ただし、専門学校で学んだ内容と従事する業務の関連性は大学卒よりも厳しく見られる傾向があります。

変更申請が受理されていれば、審査中は在留が継続されます(特例期間)。ただし、申請が受理される前に卒業すると在留活動の実態がなくなるため、卒業前のできるだけ早い時期に申請することが重要です。

同時申請はできません。どちらか一方を選んで申請します。不許可の場合に別の在留資格で再申請することは可能ですが、審査期間が追加でかかります。迷ったら技人国で検討し、業務内容が技人国の範囲に収まらない場合に特定活動46号を検討します。

在留資格が「留学」のままであれば資格外活動許可の範囲内(週28時間以内)で就労可能です。卒業後に「特定活動(内定後就職まで)」に変更した場合も、資格外活動許可を得れば週28時間以内のアルバイトが可能です。

在留資格を決めたら手続きへ進みます

技人国または特定活動46号を選んだら、在留資格変更の手続きページで申請の詳細を確認します。