在留資格

技能実習とは

開発途上地域への技能移転による国際貢献を目的とする在留資格です。企業の人手不足対策を直接の目的とする制度ではない点を、最初に理解しておく必要があります。

最終更新日: 2026-04-01

Overview

制度の要点

企業が押さえるべき基本情報

制度目的 技能移転を通じた国際貢献(人材育成)
在留期間 1号: 1年以内 / 2号: 2年以内 / 3号: 2年以内(合計で最長5年)
受入方式 団体監理型(約98%)、企業単独型
対象職種 移行対象職種・作業に該当する業務(2号以降)
転籍 原則不可(やむを得ない事情がある場合を除く)
家族帯同 不可
移行先 特定技能1号(2号修了後)、育成就労(2027年4月以降)

Purpose

制度の目的と背景

国際貢献としての人材育成

技能実習制度は、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(技能実習法、2017年11月施行)に基づく制度です。

制度の目的は、日本で習得した技能、技術又は知識を開発途上地域等に移転し、当該地域の経済発展を担う人づくりに寄与することです。法律上は「労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」と明記されています。

企業にとっての意味

この制度で受け入れる外国人は「労働者」である以前に「技能を学ぶ実習生」です。実習計画の作成、技能検定の受検支援、監理団体の監査への対応などの義務が課されます。

Stages

1号・2号・3号の違い

段階ごとに在留期間と要件が異なる

1号 在留期間 1年以内

移行要件: なし(入国後講習の修了が前提)

監理団体: 特定監理事業 または 一般監理事業

2号 在留期間 2年以内

移行要件: 技能検定基礎級(実技)合格

監理団体: 特定監理事業 または 一般監理事業

3号 在留期間 2年以内

移行要件: 技能検定3級(実技)合格

監理団体: 一般監理事業のみ

1号から2号への移行には、技能検定基礎級の実技試験に合格する必要があります。学科試験の合格は移行要件ではありませんが、受検は必要です。

2号から3号への移行には、技能検定3級の実技試験合格に加え、実習実施者が優良基準に適合し、監理団体が一般監理事業の許可を受けていることが求められます。

3号に移行する場合、技能実習生は1ヶ月以上の一時帰国が必要です。一時帰国の時期は2号修了後または3号開始後1年以内のいずれかです。

受入れ人数枠(基本人数枠)

常勤職員数 基本人数枠
301人以上 常勤職員数の1/20
201〜300人 15人
101〜200人 10人
51〜100人 6人
41〜50人 5人
31〜40人 4人
30人以下 3人

基本人数枠は1号の受入れ人数の上限です。優良な実習実施者・監理団体の場合、1号は基本人数枠の2倍、2号は基本人数枠の4倍、3号は基本人数枠の6倍まで拡大されます。

Structure

受入れの仕組み

団体監理型と企業単独型

団体監理型

事業協同組合等の監理団体が技能実習生を受け入れ、傘下の企業(実習実施者)で実習を行う方式です。技能実習全体の約98%がこの方式です。

企業単独型

日本の企業が海外の現地法人や合弁企業等の職員を直接受け入れて実習を行う方式です。海外に関連会社を持つ大企業が中心です。

監理団体の役割

  • 送出機関との連携と技能実習生の選抜支援
  • 技能実習計画の作成指導
  • 入国後講習の実施(1号の技能実習計画の全時間数の1/6以上。入国前講習を受けた場合は1/12以上)
  • 実習実施者に対する3ヶ月に1回以上の監査
  • 技能実習生の相談対応

企業(実習実施者)の義務

  • 技能実習計画を作成し、外国人技能実習機構(OTIT)の認定を受ける
  • 技能実習責任者、技能実習指導員、生活指導員を選任する
  • 実習計画に沿った技能等の修得の機会を提供する
  • 技能検定の受検支援を行う
  • 実習生の労働条件を法令に適合させる(最低賃金、労働時間等)
  • 帳簿書類を作成・保管する
外国人技能実習機構 監理団体の許可申請 ↗

Occupations

対象職種と作業

2号・3号への移行には移行対象職種への該当が必要

技能実習2号・3号に移行するためには、実習の内容が移行対象職種・作業に該当している必要があります。1号のみであれば職種制限はありませんが、1年で帰国となります。

移行対象職種・作業は、技能検定等の公的な評価制度が整備されている職種について定められています。農業、漁業、建設、食品製造、繊維・衣服、機械・金属、その他(介護、ビルクリーニング等)など幅広い分野にまたがります。

主な分野

農業 漁業 建設 食品製造 繊維・衣服 機械・金属 介護 ビルクリーニング ほか
外国人技能実習機構 移行対象職種情報 ↗

Restriction

転籍の制限

原則として実習先の変更は認められない

技能実習では、実習生が自分の意思で実習先を変更すること(転籍)は原則として認められていません。制度目的が特定の実習実施者のもとで計画的に技能を修得することにあるため、この制約は制度の構造に由来します。

例外: やむを得ない事情

以下の事情がある場合、転籍が認められます。

  • 実習実施者の経営上・事業上の都合(倒産、事業縮小等)
  • 実習認定の取消し
  • 実習実施者による暴行、ハラスメント(パワハラ・セクハラ等)、人権侵害
  • 実習実施者による重大な法令違反や契約違反

転籍が認められた場合でも、次の実習先が見つかるまでの間は「特定活動」の在留資格で就労を継続できる措置があります。

育成就労制度での変更点

2027年4月施行の育成就労制度では、一定期間(1年超を想定)の就労後に本人の意向による転籍が認められる予定です。これは技能実習制度との大きな違いの一つです。

Transition

特定技能への移行

2号修了で技能試験・日本語試験が免除

技能実習2号を良好に修了した場合、対応する分野の特定技能1号に移行できます。この場合、特定技能で通常求められる技能試験と日本語試験は免除されます。

移行時の確認事項

  1. 1

    職種・分野の対応関係

    すべての技能実習職種が特定技能に対応しているわけではない。OTIT サイトで対応表を確認する。

  2. 2

    受入れ企業の要件

    移行先の特定技能所属機関(受入れ企業)が特定技能の要件を満たしているか確認する。

  3. 3

    移行準備中の在留資格

    準備に時間がかかる場合は、特定活動(6ヶ月・就労可)の在留資格に変更して準備を進められる。

Future

育成就労制度への移行

2027年4月1日施行

2024年6月に成立した改正法により、技能実習制度は2027年4月1日をもって育成就労制度に置き換わります。育成就労制度は、人材育成と人材確保を目的に再設計された制度で、特定技能1号への移行を見据えた3年間の育成プログラムとして設計されています。

経過措置のポイント

既存の技能実習生

施行日(2027年4月1日)時点で在留中の技能実習生は、認定を受けた実習計画の範囲で実習を継続できる。

新規の入国

2027年3月31日までに認定申請を行い、同年6月30日までに入国した実習生は、技能実習として継続できる。

3号への移行制限

2号から3号への移行は、施行日(2027年4月1日)時点で技能実習2号の活動を1年以上行っている場合に限られる。

FAQ

よくある質問

主な費用項目は、監理団体に支払う監理費(月額2万円〜5万円程度が目安)、送出機関への手数料、渡航費(往復航空券)、入国後講習中の手当、住居の確保費用(敷金・家賃・家具家電等)、技能検定の受検費用です。費用構造は監理団体や送出国ごとに異なるため、複数の監理団体から見積もりを取り、費用の内訳を確認することが重要です。
1号から2号への移行に必要な技能検定基礎級に不合格の場合、1回に限り再受検が認められます。再受検でも不合格の場合、2号に移行できず、在留期間(1年)の満了をもって帰国となります。企業は実習生の受検準備を支援する義務があり、受検手続きの手配や受検費用の負担が求められます。
技能実習1号の入国要件として、日本語能力試験の特定の級の合格は法令上の要件ではありません。ただし、入国後講習で日本語教育を受けることが必要であり、監理団体や送出機関が入国前に一定の日本語研修を実施するのが一般的です。介護職種に限り、入国時にN4相当以上、2号移行時にN3相当以上が要件として定められています。
制度の目的と企業の義務が異なるため、一概にどちらが良いとは言えません。技能実習は国際貢献としての人材育成が目的であり、監理団体を介した受入れと技能検定受検が前提です。特定技能は人手不足分野の即戦力確保が目的であり、受入れ企業が直接雇用します。詳しくは比較ページで整理しています。
2027年4月に育成就労制度へ移行しますが、経過措置により2027年3月31日までに認定申請を行い同年6月30日までに入国した実習生は技能実習として継続できます。ただし、中長期的には育成就労・特定技能を前提とした受入れ計画を検討すべきです。
企業単独型は、海外の現地法人・合弁企業等の職員を日本の企業が直接受け入れる方式で、海外拠点を持つ大企業が主に利用します。団体監理型は、事業協同組合等の監理団体を介して受け入れる方式で、技能実習全体の約98%がこの方式です。中小企業の場合、通常は団体監理型での受入れとなります。

技能実習の理解を深めたら、次のステップへ

制度の違いを比較して、自社に合う採用ルートを確認できます。